第12号 -平成20年5月26日発行-
■発行人:土井邦紘 ■編集人:和田成雄 ■題字:福井 厳 顧問
第12回京都糖尿病医会学術講演会
平成19年12月1日 メルパルク京都
EBMを活用するためにはバイアスの考慮やエビデンスの評価が重要で、最もエビデンスレベルが高いのはRCTのメタ分析であり、治療効果の大きさはNumber Needed to Treat (NNT)の信頼性が高い(名古屋第二日赤 野口善令先生)。糖尿病関連のエビデンスは多数報告されているが、外国のエビデンスを日本人に適応するのには慎重でなければならない(北大 吉岡成人先生)。
第12回京都糖尿病医会学術講演会は、「糖尿病のエビデンスを見直す」をテーマに、平成19年12月1日メルパルク京都で開催されました。まず、特別講演として名古屋第二赤十字病院救急・総合内科部長 野口善令先生と北海道大学大学院医学研究科第二内科准教授 吉岡成人先生のご講演を拝聴しました。その後、ラクト健診センター 森本昌親先生のご司会で両先生ならびに鍵本クリニック 鍵本伸二先生、京都桂病院内分泌・糖尿内科 山本泰三先生による「糖尿病のエビデンスを日常臨床に生かすために」のパネルディスカッションが行われ、参加者も交えた活発な討論がなされました。日常の糖尿病診療におけるエビデンスの理解と活用法の難しさを実感する良い機会となりました。
特別講演1 座長:京都桂病院内分泌・糖尿内科 山本泰三先生
「EBMの正しい理解とその活用法」~「EBM」という言葉に踊らされないための考え方 ~ 名古屋第二赤十字病院救急・総合内科部長 野口善令先生
Evidence Based Medicine (EBM)を活用するためには、統計と確率を理解する必要がある。サイコロを例にすると、p値(probability)は偶然によって差が生じる確率であり、現象の極端さや施行回数に依存している。したがって、p値が小さいことは効果の強さと同じではない。95%信頼区間(confidence interval, CI)の狭さは治療効果の推定値はどれほど正確かを示しており重要である。エビデンスにはいくつかの問題点があり、臨床研究を批判的に吟味する力が必要である。例えば、バイアス(選択バイアス、親の欲目バイアス、プラセボ効果)、ホーソン効果、作為効果などを考慮することや、研究出資先が公的機関と製薬会社の場合で表現が異なることも多い。エビデンスを適正に評価される方法はランダム化比較試験( RCT)であるが、その中でも脱落バイアスを除外するintention to treat法を用いた試験がよい。最もエビデンスレベルが高いのはRCTのメタ分析である。治療効果の大きさは 相対的リスク低下よりNumber Needed to Treat (NNT)の信頼性が高い。EBMは医師の裁量や経験を否定するものではなく、治療すべきかを決定するのは医師と患者である。
特別講演2 座長 鍵本クリニック 鍵本伸二先生
「2型糖尿病診療のエビデンス」 北海道大学大学院医学研究科 第二内科准教授 吉岡成人先生
2型糖尿病発症予防に関する介入試験としては、生活習慣(Da Qing、Finnish、DPP研究)、経口血糖降下薬(DPP、STOPNIDDM、TRIPOD研究)、降圧薬(PUMA、VALUE研究)などによるものがある。血糖管理が不良であれば、網膜症や腎症が進展することがKumamoto研究などで示されている。糖尿病治療薬については、チアゾリジン薬はエビデンスが少ない。SU薬は心血管イベントを増加させるとのUGDPやコホート研究の結果がみられる。しかし、SU薬による虚血性心疾患のプレコンディショニング抑制作用は薬剤間の差が示唆されている。ビグアナイド薬は、UKPDSではSU薬との併用で心血管系死亡率が多いが、最近の報告では他の薬剤との差はみられない。血圧管理は、ARBやACE阻害薬を使用しても降圧が十分でなければ腎症の進展予防効果は少ない。脂質管理は心血管疾患の1次、2次予防ともに重要である。したがって、Steno-2研究が示すように血糖値だけでなく血圧、脂質、BMIなどを考慮した集約的治療が必要である。ただし、このようなエビデンスやガイドラインを日本人に適応することには慎重を要する。
パネルディスカッション「糖尿病のエビデンスを日常臨床に生かすために」
EBMを理解するための例としてPROactive試験の文献が示され、図の表現型に問題があることを指摘された。また、わが国で進行中のJ-DOIT3の手法にも疑問が出されたが、心血管疾患に対する一次予防のエビデンス構築のためインスリン抵抗性改善薬のRCTは必要との意見もあった。最後に、糖尿病診療のガイドラインを使用する際には、エビデンスレベルやグレードの高さを重視することや日本人のエビデンスが乏しいことを考慮すべきであると述べられた
第12回 京都糖尿病医会理事会
第12回京都糖尿病医会学術講演会に先立ち土井邦紘会長を議長に理事会が開催されました。
報告事項
①第12回京都糖尿病医会学術講演会:平成19年12月1日 メルパルク京都
②第13回京都糖尿病医会学術講演会:平成20年6月28日(土)
肥満(小児を含む):小児科医会と共催。/@京都府医師会館
③第12回京都糖尿病医会地域学習会:京都市内南部(十条病院 西野和義先生,武田病院 井垣敏郎先生、南病院 岡本希三子先生) 平成20年2月9日/@十条病院会議室
④第13回京都糖尿病医会地域学習会:平成20年夏/舞鶴地区:荒木義正先生、四方泰史先生
⑤共催学術講演会
・高血圧フォーラム2007 IN KYOTO:平成19年6月30日
~糖尿病を考慮した高血圧治療戦略~ 名古屋市立大学 木村玄次郎先生
・α-GIとグリニド系薬剤併用療法に関する講演会:平成19年10月13日 兵庫医大 難波光義教授
・糖尿病エキスパートミーティング:平成19年10月6日 東京大学 山内 敏正先生
・Lantus symposium:平成19年10月25日「インスリン療法のBrush Up」 東京女子医大 内潟 安子教授
・第17回糖尿病臨床カンファレンス:平成19年10月27日「経口血糖降下剤の使い方(新薬も含めて)」香川医大 石田俊彦教授
⑥京都府糖尿病対策推進事業委員会:
⑦その他
協議事項
①入会申し込み
井上 一知先生:井上クリニック糖尿病センター(下京区)
四方 泰史先生:四方医院(舞鶴市)
福田 一仁先生:京都逓信病院 第一内科
細川 雅也先生:京大 糖尿病・栄養内科
村田 真二先生:むらた医院(中京区)
②その他
第12回京都糖尿病医会地域学習会
今回の地域学習会は下京西、南地区が担当しました。糖尿病専門医、診療所の先生方(歯科医を含む)及びコメディカルスタッフで構成する勉強会を十条リハビリテーション病院6階会議室で2月9日に開催しました。当地区におきましてこのような勉強会の担当は初めてでしたので、第1回下西地区糖尿病診療における病診連携の推進と題し、下京西部医師会開会長にご協力を仰ぎながら企画しました。当日はあいにくの雪模様でしたが、30名以上の参加者が終始和やかな雰囲気で忌博のない意見交換を行いました。以下、簡単に内容をご紹介します。
第一部(糖尿病治療の進め方)は、各治療法の概説(医師担当)と指導の実際(コメディカル担当)を講義形式で進めました。まず、食事療法については京都南病院の私と吉津久美子先生が担当しました。日常診療で役立つよう食品交換表を用いた糖尿病外来の診察や栄養指導の様子を、臨場感が感じられるように工夫して紹介しました。運動療法は下京西部医師会より推薦していただいた安田雄司先生と藤田雅子先生が担当して下さいました。呼吸器外科がご専門で生活習慣病の治療と予防にも積極的に取り組んでおられる安田先生と同仁会クリニックの藤田先生からは、両施設の充実した設備とプログラムに加えて利用後の治療効果を提示していただきました。専門医にとっても羨ましくて、また刺激される内容で、うまく利用しあえば理想的な生活習慣改善の支援体制が整うように感じました。薬物療法に関しては十条リハビリテーション病院が担当しました。西野和義先生が薬物療法の進め方について、片山宜江先生はインスリンの導入について説明されました。科学的エビデンスに基づきながら非常にわかりやすく整理して教えて戴き大変好評でした
第二部は、シンポジウム形式で行いました。歯科医師会からタイムリーな申し出をいただき上田賢先生による歯周病と糖尿病の密接な関連と医科・歯科連携の必要性について講演していただき、私自身にとっても大変勉強になりました。イギリス式在宅医療を展開しておられる秦敬和先生は、現在往診中の糖尿病患者は意外に少ないと指摘されました。その理由として食事摂取量が減り薬物療法が不必要になる方が少なくないことや、進行した合併症を併発した場合は在宅医療の対象外となってしまうことなどが考えられ、今後専門医との連携を必要とする在宅症例が増加してくるのではと予想されました。最後に地域連携の要件の中で最もハードルの高い診療情報共有のIT化に関して下京西部医師会情報化推進委員会 大森浩二先生からICカードの取り組みについて伺いました。ICカードは医者の手間がかからない、費用をかけない、セキュリティーが高い、拡張性がある、シンプルなものという基本理念のもとに開発されました。現在2病院検査室と4検査会社の協力の下に試験運用を開始されているとのことで、今後の発展が大いに期待されます。
今回の地域勉強会をとおして、改めて顔のみえる病診連携の重要性を実感しました。また、病院問のスタッフが交流会を持つ案も浮上しており、第2回下京西部、南地区の糖尿病病診連携の推進を企画し実現したいと思っています。
文責:京都南病院 内科 岡本三希子
役員会および理事会
第58回 京都糖尿病医会役員会
平成19年9月27日
報告事項
①第12回京都糖尿病医会学術講演会:平成19年12月1日(土)
テーマ「EBMのみかた」
名古屋第2赤十字病院 野口善令先生「EBMの正しい理解とその活用法」、北大 吉岡成人先生 「2型糖尿病診療のエビデンス」
パネルディスカッション:糖尿病のエビデンスを日常臨床に生かす。
②各種委員会報告:生涯教育委員会 京都医学会「ガン医療」
③審査会情報:社保よりインスリン処方時にはレセプトに処方日数の記載が必要との理由で返戻された。以前に開催された基金・国保審査委員会連絡会において「処方日数の記載は不要」と定めた。
④糖尿病対策推進事業委員会: 「医師対象」講習会を終了し、「コメディカル対象」講習会を開始している。第一回には270名参加。「医師対象」総集編を行なう。
⑤α-GIとグリニド系薬剤併用療法に関する講演会:平成19年10月13日 兵庫医大 難波光義教授「2型糖尿病の初期治療」
⑥糖尿病エキスパートミーティング:平成19年10月6日 東京大学 山内敏正先生「メタボリックシンドロームの分子メカニズムと治療戦略」 症例 土居健太郎先生
⑦Lantus symposium:平成19年10月25日(木)「インスリン療法のBrush Up」 東京女子医大 内潟 安子教授
⑧その他:USA-Japan symposium 10月20~21日(Josulin のスタッフと)
協議事項
①第13回京都糖尿病医会学術講演会:平成20年6月28日(土)京都府医師会館:肥満(小児を含む):小児科医会と共催。/成人:東京逓信病院 宮崎 滋先生、小児:日大 浦上達彦先生
②第14回京都糖尿病医会学術講演会: 平成20年12月13日 コーディネーター 鍵本伸二先生、大石まり子先生/テーマ「実効性のある糖尿病療養指導」
③第12回京都糖尿病医会地域学習会:京都市内南部(十条病院 西野和義先生、武田病院 井垣敏郎先生、南病院 岡本三希子先生)
④第13回京都糖尿病医会地域学習会:平成20年夏 舞鶴 荒木義正先生、四方泰史先生
⑤第14回糖尿病地域学習会:左京 バプテスト病院 米田紘子先生、京大 細川雅也先生
第59回 京都糖尿病医会役員会
平成19年10月18日
報告事項
①第12回京都糖尿病医会学術講演会:平成19年12月1日(土)総合司会 桝田 出先生、パネル司会 森本 昌親先生
②各種委員会報告:医療安全委員会「症例提示:低血糖 高血糖 山本泰三先生」
③審査会情報:認知症のスクリーニングとしてのVB1,6,12などの測定は症例を選んで。イミグラン:「偏頭痛」のみ可。混合性頭痛は不可。スピリーバ:適応通り。喘息には不可。HP耐性時のフラジール:1日2錠。「二次除菌」の記載要。なければ返戻。アーチスト:1.25mg, 2.5mg は心不全、10mg, 20mg は高血圧。
④糖尿病対策推進事業委員会:修了書は知事名
⑤第17回糖尿病臨床カンファレンス:平成19年10月27日(土)「経口血糖降下剤の使い方(新薬も含めて)」香川医大 石田俊彦教授
⑥世界糖尿病ディー:11月14日(バンティングの誕生日)東京タワーをブルーでライトアップ
⑦その他:30ミックスフレックスペンを2週間カバンに入れていたところ熱変性のため凝固。
協議事項
①第14回糖尿病地域学習会:鈴鹿隆之先生を左京医師会とのパイプ役に。
②その他:複数製薬会社と同効薬のディベートを共催で。
第60回 京都糖尿病医会役員会
平成19年11月29日
報告事項
①各種委員会報告:生涯教育委員会:平成20年京都医学会「メタボリックシンドローム」/医療安全委員会:「医療崩壊と救急医療」
②審査会情報:入院時のHCV抗体精密測定はスクリーニングとしては認めない。EPSに対する電極カテーテルは原則4本まで。ビタミン剤の内服、注射の多い医療機関に対し文書注意。
協議事項
①第14回京都糖尿病医会学術講演会: 平成20年12月13日(土)香川医大 石田俊彦教授
②第12回地域学習会:平成20年2月7日(土)於十条病院会議室。「糖尿病治療の進め方の共通認識と地域連携のクリニカルパス」
③その他:K-net カンファレンス(12月13日)高倉康人先生「食事運動療法のこつ」/メトフォルミンを中心とした経口血糖降下剤の研究会を開催する。
第61回 京都糖尿病医会役員会
平成19年12月27日
報告事項
①第13回京都糖尿病医会学術講演会:平成20年6月28日(土)2:00~ 理事会、2:30~ 総会、3:00~ 講演会
②各種委員会報告:
③審査会情報:退院時投薬は原則1ヶ月以内であるが、さらに長期になっても構わない。30日を越える分を査定された時は再審査請求を。
協議事項
①複数製薬会社共同研究会(第一三共・持田製薬)スタチンとEPAの差異、使い分けなど。ディベートは出来ないか。
②ビグアナイド講演会:渥美義仁先生
③生活習慣病をテーマとした多科に亘る講演会:各医会、地区医師会、基幹病院などと共同で循・腎・神経など多科に亘る講演会を開催する。
京都糖尿病医会 臨時理事会
平成20年1月24日
報告事項
①第13回京都糖尿病医会学術講演会:平成20年6月28日(土)京都府医師会館:肥満(小児を含む):小児科医会と共催。午後2時~ 理事会、2時30分~ 総会、3時~ 講演会
②第12回京都糖尿病医会地域学習会:十条病院会議室 午後3時~5時30分
③各種委員会報告:京都医学会「MetS」北 徹先生、松沢祐次先生
④審査会情報:糖尿病診断後のGTTは注記があれば可。尿中アルブミン測定は「糖尿病」の傷病名にて可。ビタミン剤の使用について。
⑤糖尿病対策推進事業委員会:コメディカル対象の講習会①「総論」終了。②「食事と運動」コメディカル対象終了後は府民対象へ。
協議事項
①生活習慣病をテーマとした多科に亘る講演会:各学術集会時に専門医のup to date なメッセージを企画。その他、short Lecture や保険診療情報。
②その他:新入会員審査
第63回 京都糖尿病医会役員会
平成20年2月28日
報告事項
①第13回京都糖尿病医会学術講演会:平成20年6月28日(土)総合司会:高倉康人先生
②第14回京都糖尿病医会学術講演会: 平成20年12月13日 古今烏丸
③各種委員会報告:市民公開講座。京都医学会。
④審査会情報:「糖尿病疑」で連月のHbA1cは不可。耐糖能障害を来たす疾患(慢性膵炎など)は注記によりHbA1cを認める。
⑤糖尿病対策推進事業委員会:
⑥ビグアナイド講演会:平成20年6月12日(木)メルパルク京都/渥美 義仁先生 なぜBGが見直されてきたか。
協議事項
①第15回京都糖尿病医会学術講演会:生活習慣病と各領域との関連。
②第13回京都糖尿病医会地域学習会:平成20年夏/舞鶴 荒木義正先生、四方泰史先生
③複数製薬会社共同研究会(第一三共・持田製薬):8月30日(土)Megastudy, JELIS を中心に。参加者は幅広く。
④京都府保険医協会からのお願い。
第64回 京都糖尿病医会役員会
平成20年3月27日
報告事項
①第14回京都糖尿病医会学術講演会:平成20年12月13日 古今烏丸 香川医大 石田俊彦先生「患者教育」/パネル「実効性のある糖尿病患者教育」
②審査会情報:気管支炎に対し抗生物質の内服と注射の併用。頻尿改善剤:適応疾患名が必要。逆流性食道炎に対するフォイパン:術後の病名が必要。イソジンの算定:トリガーポイント時は不可。
③糖尿病対策推進事業委員会:府庁から事務官が参加。各機関で作成したスライドを貸し出し、共有する。
協議事項
①第15回京都糖尿病医会学術講演会:平成21年6月27日栄養代謝面からみた糖尿病の病態生理
②第13回京都糖尿病医会地域学習会:平成20年7月12日(土)舞鶴 荒木義正先生、四方泰史先生
③第8回総会、第13回理事会議案:決算、予算、事業報告、事業計画。今後の運営形態。会長選挙。
④名簿作成:会員各人に確認を取る。
保険診療Q&A
2008年4月診療報酬改定の中で糖尿病関連につき解説します。
「糖尿病患者のうち、非インスリン患者に対するキットを用いた血糖自己測定に基づき指導を行なった場合、年1回に限り500点を加算する。」
まず、この加算は生活習慣病管理料を算定している患者に対するものであり、HbA1c 8% 以上のコントロール不良者に対し、20回程度以上の自己測定を指導した場合に算定可能です。連月に亘って指導する必要はなく、少なくともHbA1c8% 未満になれば適応でなくなります。勿論、測定キットは貸与しなければなりません。
「糖尿病患者の中で血糖値が安定しており、インスリン製剤の長期投与が可能な患者について、血糖自己測定器の加算を3か月分まとめて算定できることとする。」
例えば血糖自己測定を月に40回以上測定している患者に対し、インスリンを2か月分、血糖測定用センサーを2か月分投与してもこれまでは580点しか算定できませんでしたが、今回の改定により580x2=1160点算定可能となりました。但し、在宅自己注射指導管理料は1回分(820点)のみです。
なお、月80回以上、100回以上、120回以上測定の加算を算定できるのは1型糖尿病に限られますので注意してください。
「糖尿病合併症管理料170点の算定要件。」
糖尿病足病変患者看護に従事した経験を5年以上有する専任の常勤看護師で、適切な研修(通算して16時間以上または2日間程度)を終了した者1名以上が必要。具体的には糖尿病認定看護師か、認定看護師の講習会に参加していること。大学院で行った「慢性疾患看護CNSプログラム サブスペシャリスト糖尿病看護研修」に参加していること。などが考えられています。しかし、実際には「在宅療養指導料 170点」が従来より算定可能であり、あえて当該管理料を算定すべく施設基準を見直す必要性はないように思います。
「HbA1c、1.5AG、グリコアルブミンのうちいずれかを同一月中に併せて2回以上実施した場合は、月1回に限り主たるもののみ算定する。ただし、妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6ヶ月以内の患者、インスリン治療を開始して6ヶ月以内の患者などについては、いずれか1項目を月1回に限り算定できる。」
月に一度しか来院しない1型糖尿病患者に対して、HbA1c とGAの併算定が可能です。
「外来迅速検体検査加算の算定要件が「実施した全ての検査」から「厚生労働大臣が定めるもの」に変わりました。」
患者に説明し文書で情報を提供すれば「グルコース」のみ(5点)でも「グルコースとHbA1c」のみ(10点)でもそれ以外の検査をしなければ算定可能です。
・ 血清蛋白分画およびリパーゼが生化学検査(Ⅰ)にまるめになりました。
・ 医療機関では後発品を処方した時の加算点数はなくなりましたが、調剤薬局では後発品を調剤すれば3剤まで1剤2点加算されます。処方したのは医師であるにも係わらず調剤薬局に加算されるのは理解し難いですね。また調剤薬局では先発品と後発品の同等性を患者に説明し、先発品を後発品に変更すれば10点加算されます。当然次の処方からは2点加算されます。
先発品と後発品が同等とは到底考えられません。調剤薬局ではどんな説明を患者にしているのでしょうか。後発品を勧めるときには、同等性ではなく、その差異を納得できるように説明すべきだと私は思うのですが、如何でしょうか?