第7号 −平成17年10月1日発行−
■発行人:土井邦紘  ■編集人:和田成雄  ■題字:福井 厳 顧問
土井邦紘 会長 続投
第4回京都糖尿病医会総会
第7回京都糖尿病医会学術講演会
第7回京都糖尿病医会理事会
 平成17年6月24日ぱるるプラザ京都において第4回京都糖尿病医会総会が開催され、新理事60名が決定。また平成16年度事業報告および決算報告が行われ、次いで平成17年度予算案および事業計画を承認。学術講演会の後で行われた新理事による理事会において、会長には再び土井邦紘先生が推挙・承認された。
「再任にあたって」
会長 土 井 邦 紘
平成14年4月に京都府医師会内に分科会の1つとして全国に先駆けて「糖尿病医会」が設立されてから丸3年間が経ちました。
 近年わが国の糖尿病人口の急激な増加およびそれに伴う腎症、網膜症、動脈硬化症などの合併症の増加が社会問題となり、医師のみならず社会全体の関心を集めています。しかも、現在、多くの場合、糖尿病は単一疾患ではなく、肥満症、高血圧症、高脂血症、心筋梗塞、脳梗塞など幾つかの疾患を合併しております。したがって、糖尿病は内科医のみならず他科の医師の糖尿病診療への参加が不可欠となっています。
 そこで、私どもは京都府全域の、現在、糖尿病診療に携わっている京都大学、京都府立医科大学、其の関連病院から一般開業医までの先生方、或いは糖尿病をはじめとした生活習慣病にかかわる循環器科、眼科、外科、神経内科、腎臓病科あるいは透析科等の先生方を対象に研錆を積みあるいは情報交換ができる場として「京都糖尿病医会」を設立いたしました。現在会員数も273名となり、毎回の学術集会も質疑応答が活発であり、講師の先生方からの手紙にも、手ごたえのある会と評して頂いています。この会の目的は、あくまでも各医療機関の機能分担、役割分担を明確化することによって、府民により良い医療を提供することであります。大学でなければ出来ない最先端医療は大学で、大病院でなければ治療が困難な治療は大病院へ、一般外来の治療は開業医でと役割を分担して病・診、診・診連携を進めています。この3年間の創成期を順当に滑り出すことが出来ましたのは先生方各位のこの会に対する期待と情熱によるものであります。
 そこで、次の生長期にはさらにこの目的を達成するために、視野を広く持って生活習慣病の予防から治療の開発および普及に叡智を結集して当たりたいと考えております。それには先生方の積極的な発言と行動を期待しております。その第一歩として、学術集会と病・診連携の充実のためにも、「かかりつけ医」と「糖尿病の発症予防と合併症の阻止」を重視した今回の日本医師会、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会の三者が立ち上げた「糖尿病対策推進協議会」の実現に全力を挙げたいと思います。会員の先生方の絶大なる協力をお願いする次第です。
第7回 京都糖尿病医会学術講演
平成17年6月24日 ぱるるプラザ京都
テーマ:糖尿病と運動療法
 糖尿病を基礎疾患として持たない救急症例で随時血糖200mg/dl以上の場合は重症例が多い(京都南病院 清水 聡先生)。糖尿病患者では「低血糖を見逃さない」「不定愁訴に要注意」「隠れた疾患・病態を見逃さない」「麻痺をともなった高浸透圧昏睡を脳卒中と誤診するな」(洛和会音羽病院 松村理司先生)。
 今回は糖尿病と救急疾患のかかわりについて救急のなかに占める血糖値異常のウェートや血糖値が他の疾患に及ぼす影響や予後等について各科の専門の先生から講演をしていただいた。一般演題では京都専売病院の桝田出先生の司会で、まず京都南病院の清水聡先生より「救急疾患の血糖値について」以下の要旨の講演をいただいた。(以下、一部スペースの都合上改変させていただいております。ご容赦ください。)
 過去一年間に救急車で搬入された救急症例の血糖値について検討。来院時の重症度に応じての血糖値の変化については、軽症例の平均血糖値は127mg/dlで重症化するほど有意に平均血糖値は高くなり、重症例の平均血糖値は201mg/dlであった。基礎疾患に糖尿病がない救急症例とある症例との血糖値の違いについては、基礎疾患に糖尿病のない症例の平均血糖値は120mg/dlで、糖尿病のある症例は219mg/dlと有意に高い傾向にあった。随時血糖値200mg/dlを指標にして救急症例の糖尿病と重症度について検討してみると、随時血糖値200mg/dl以上を呈した救急症例は、基礎疾患に糖尿病を持つ症例が多く、また200mg/dl未満を呈した救急症例は、糖尿病を基礎疾患に持たない症例が多かった。また随時血糖値200mg/dl以上を呈した救急症例のうち、糖尿病を基礎疾患に持たない症例は重症例が有意に多く、逆に随時血糖値200mg/dl未満の症例には重症度との関係は認められなかった。
 講演内容から随時血糖値200mg/dl以上では糖尿病を基礎疾患に持たない症例は重症例が有意に多いようであり救急患者には予後決定の上でも血糖測定をルーチンですべきであろうと思われた。
次に京都桂病院の山本泰三先生より「低血糖症について」を講演された。低血糖がiatrogenicにおきることが日常臨床上最多と推定され特に低血糖昏睡が通常のhyperglycemic crisisよりも経過が急激であり交通事故誘発などによる自損・他損事故のリスクがあることにより予防法・緊急時の対処法について専門家としてのスキルアップが必要不可欠である旨を説明された。症例提示ではSU剤による低血糖遷延例、インスリン過剰投与による低血糖昏睡例(自殺企図例を含む )について具体例でわかりやすく説明された。また低血糖の原因として内分泌疾患の見逃しにも注意が必要。対処としては原則入院で十分量のブドウ糖の静注、グルカゴン投与(最大2回)、予防には血糖自己測定を中心としたセルフケア指導が重要であると解説していただいた。
 最後に京都第一日赤病院の田中亨先生より「緊急血液浄化で救命し得た糖尿病ケトアシドーシスの2例」の症例提示をしていただいた。以下要旨です。
 症例1:24歳、男性。主訴は意識障害。血圧低下、頻脈、過呼吸を認め、FPG 2056mg/dl、HbA1c 9.9%、Cr 5.3mg/dl、UA 20.0mg/dl、血中ケトン体 13695μM/lで、代謝性アシドーシスも認め、糖尿病ケトアシドーシスと診断。意識障害、呼吸不全、血圧低下、無尿を伴う腎不全が進行し、人工呼吸器管理下に持続的血液濾過(CHF)を行った。本例の急性腎不全の原因は高尿酸血症による尿細管閉塞の関与を考えた。 講演内容から随時血糖値200mg/dl以上では糖尿病を基礎疾患に持たない症例は重症例が有意に多いようであり救急患者には予後決定の上でも血糖測定をルーチンですべきであろうと思われた。
 次に京都桂病院の山本泰三先生より「低血糖症について」を講演された。低血糖がiatrogenicにおきることが日常臨床上最多と推定され特に低血糖昏睡が通常のhyperglycemic crisisよりも経過が急激であり交通事故誘発などによる自損・他損事故のリスクがあることにより予防法・緊急時の対処法について専門家としてのスキルアップが必要不可欠である旨を説明された。症例提示ではSU剤による低血糖遷延例、インスリン過剰投与による低血糖昏睡例(自殺企図例を含む)について具体例でわかりやすく説明された。また低血糖の原因として内分泌疾患の見逃しにも注意が必要。対処としては原則入院で十分量のブドウ糖の静注、グルカゴン投与(最大2回)、予防には血糖自己測定を中心としたセルフケア指導が重要であると解説していただいた。
 最後に京都第一日赤病院の田中亨先生より「緊急血液浄化で救命し得た糖尿病ケトアシドーシスの2例」の症例提示をしていただいた。以下要旨です。
 症例1:24歳、男性。主訴は意識障害。血圧低下、頻脈、過呼吸を認め、FPG 2056mg/dl、HbA1c 9.9%、Cr 5.3mg/dl、UA 20.0mg/dl、血中ケトン体13695μM/lで、代謝性アシドーシスも認め、糖尿病ケトアシドーシスと診断。意識障害、呼吸不全、血圧低下、無尿を伴う腎不全が進行し、人工呼吸器管理下に持続的血液濾過(CHF)を行った。本例の急性腎不全の原因は高尿酸血症による尿細管閉塞の関与を考えた。
 症例2:24歳、男性。朝から全身倦怠感が出現し、増悪したため夜に救急外来を受診。腎障害(BUN52mg/dl、Cr 2.54mg/dl)、著明な高カリウム血症(8.0mEq/l)、心室性不整脈などを指摘され、緊急血液透析を行ったが、著しい高血糖(1346mg/dl)、ケトアシドーシスも認め入院。血圧正常、HbA1c5.9%、内因性インスリン分泌低値、抗GAD抗体陰性等から、劇症1型糖尿病と診断し、超速効型インスリンによる強化療法を行った。本例では著しい脱水で腎前性急性腎不全を来した上、インスリン欠乏、代謝性アシドーシスから急激に高カリウム血症に至り心室性不整脈を生じたが、バイタルサインが安定していたため血液透析を行い、致死的不整脈は防止し得た。プライマリケアを担当する際には糖尿病ケトアシドーシスの可能性を念頭において診察し、簡便なスクリーニング検査を行うように広く勧める必要があり、更に急性腎不全合併例では、状況に応じて血液浄化法を選択しなければならないと締めくくられた。
 特別講演では公立山城病院の中埜幸治先生の司会で、洛和会音羽病院の松村理司先生に「糖尿病にまつわる救急疾患」について講演をいただいた。以下要旨です。
 「救急室での糖尿病」に関する第1の原則は、「低血糖(症)を否定する」ことである。治療開始が遅れると、高血糖の場合よりも重篤な合併症や死をもたらす。救急室に簡易血糖測定器がない場合、低血糖を疑ったら、血液検査結果を待たずに50%ブドウ糖20ml2A(40ml)を静注する。低血糖の症候は多彩である。自律神経系の症状としては、発汗、振戦、不安、空腹感、動悸がある。中枢神経系の症状には、集中力低下、錯乱、異常行動、傾眠、昏睡、片麻痺、痙攣、不随意運動がある。
 ついで、「糖尿病患者の不定愁訴に御用心!」である。嘔気・嘔吐、漠然とした気分不良、全身倦怠感、胸の変な感じ、腹痛、冷汗、食欲不振、肩のだるさ、熱源がはっきりしない発熱に要注意なのである。「軽症にみえる重症」がこわい。
 「隠れた疾患・病態を見逃さない」。「隠れた疾患・病態」には、@低血糖症、A無痛性心筋梗塞、腸間膜動脈閉塞、BDKA、CHHS(Hyperosmolar hyperglycemic state)、D感染症(肺炎、肝胆道系感染症、腹腔内膿瘍、尿路感染症、肛門周囲膿瘍、蜂窩織炎)があげられる。そのためには、「顎から心窩部までのどんな不定愁訴にも必ず心電図チェック」を行う。ケトアシドーシスになるまでに「ケトーシスの段階でつかまえる」。具体的には、HCO3-が15mEq/l以下になるまでにつかまえる。静脈血でよい。
 「片麻痺、半身痙攣、不随意運動の HHS を脳卒中と誤診するな!」
 種々の感染症の病像に習熟しておきたい。高齢者は微熱でも、胸部X線を撮り、尿沈渣・胆道感染の有無をチェックしよう。糖尿病に特異的な重症感染症には、悪性外耳道炎、鼻脳型ムコール症、気腫性腎盂腎炎、気腫性胆嚢炎がある。「X線単純撮影でガスを探せ!」
 このように非常に具体的で分かりやすい講演内容であり、われわれが日頃なにげなく診察している患者のなかに重要なサインが隠されている可能性があることや、日頃耳にしない疾患について再認識させていただけた有益な講演であった。
(畑 雅之 記)
第7回京都糖尿病医会北部地域学習会報告
畑  雅 之
 平成17年9月3日(土)に京都ルネス病院PETカンファレンス室にて福知山・綾部・舞鶴医師会共催にて開催致しました。30名の出席をいただきました。テーマは「日常よくある糖尿病についての疑問をみんなで討議する」といった形式にいたしました。コメンテイターとして高尾嘉興先生、荒木義正先生、橋本雅生先生、市田裕紀子先生、総括を森本昌親先生にお願いしました。森本副会長の開会挨拶の後、福知山市民病院の橋本雅生先生より「治療中断後長期放置にてコントロール不良となり入院した1例」の症例提示があり治療の自己中断を阻止するためには信頼関係をどう作るかを中心に論議しました。綾部市立病院の市田裕紀子先生より「買い食いが止められない1例」の症例提示がありインスリン注
 射の回数や種類、血糖のコントロールの妥協点をどこに持っていくか、うつ病との関わり、家族との連携等色々な意見が出されました。曽我内科医院の曽我哲司先生より「運動拒否例、運動量の差の激しい例、メタボリックシンドロームの合併例」という3例の症例提示があり、指導の難しい症例に対しどうアプローチすべきかが活発に討議されました。最後に京都ルネス病院の宇治川浩子先生より「コントロール良好にも拘わらずHbA1cと血糖との間に乖離の見られた症例」の提示がありました。会場内で種々の可能性について検討しましたが、その原因について明確な結論は出せませんでした。最後に福知山医師会会長の高尾嘉興先生の閉会の挨拶にて終了しました。
 今回の勉強会では討論の時間を多く取り十分な討論が出来たことが一番の収穫であったと思われます。単なる一方的な講演でなく、実際的な問題を取り上げ会場で討論することで色々な意見が出され、非常に有意義な学習会であったと思います。
役員会および理事会
第7回 京都糖尿病医会役員会
平成15年1月23日
報告事項
@第7回京都糖尿病医会学術講演会:平成17年6月25日(土)
A各種委員会報告:生涯教育委員会/京都医学会「リハビリテーション」
協議事項
@第7回京都糖尿病医会総会議題
A第8回京都糖尿病医会学術講演会:平成17年11月26日(土)/総合司会:田中 亨先生/「糖尿病と虚血性心疾患」/宮崎俊一先生(国立循環器センター)/ミニレクチュアー、ディスカッション
B第8回糖尿病地域学習会:山科医師会 平成18年2月4日午後2時より/山科医師会診療センター:「インスリン治療」土居健太郎先生竹内寿子先生、和田成雄先生
Cバイエル薬品からの申し入れ:小単位での専門医と非専門医の集まり。まず現在の研究会を確認し、地域学習会との重なり、整合性を検討する。
D府医健康教室:平成17年6月19日(日)シンポジウム:1名(和田成雄先生)/健康相談:2名(大石まり子先生、畑 雅之先生)
E新入会員:市田裕紀子先生(綾部市立病院):承認
第36回 京都糖尿病医会役員会
平成17年6月23日
報告事項
@糖尿病予防推進会議について:パンフレットが配布されている。
A第7回京都糖尿病医会理事会:平成17年6月25日
第7回 京都糖尿病医会理事会
平成17年6月25日 ぱるるプラザ京都
協議事項
@会長選出:土井邦紘先生再任
A副会長:浅山邦夫先生、金綱隆弘先生、森本昌親先生再任/監事の選任:中川竹彦先生、辻 俊三先生再任
B役員の選任:後日発表
C第8回京都糖尿病医会学術講演会:平成17年11月26日 京都府医師会館
D第9回京都糖尿病医会学術講演会:平成18年 6月24日 京都府医師会館
E第7回地域学習会:平成17年9月3日 京都ルネス病院
F第8回地域学習会:平成18年2月4日 山科医師会診療センター
第37回 京都糖尿病医会役員会
平成17年7月28日
報告事項
@役員の確認:別紙の通り
A各種委員会報告:庶務報告/学術生涯教育:希望図書購入(数万円程度)
B審査会情報:男性更年期障害 検査項目は女性に準じる。
C治験情報:8月度役員会にて総合臨床社より説明会。
Dホームページの更新について:眼科医会のホームページを参考に。
Eその他:三和化学:グリセット発売記念講演会 加来先生/糖尿病臨床カンフファレンス:10月29日 古家先生/エキスパートミーティング:11月19日 岡 芳知先生
協議事項
@第9回京都糖尿病医会学術集会:平成18年6月24日(土)京都府医師会館「テーマ:早期腎症の管理」菅原先生、山田先生、八城先生が担当。アルブミン以外の指標は?アルブミン尿と網膜症との関わり。
A第9回地域糖尿病学習会:平成18年夏 山田和範先生―大石まり子先生。
B製薬メーカーとの共催時の会場費の徴収について:医師会との共催、単発・シリーズともに1000円。後援は不要。
C京都糖尿病医会の今後の方向性について:生活習慣病全体として取り上げる。底上げ、輪を広げる。地域学習会の充実。小児科、婦人科など他科とのジョイント。診療に実態調査。多科に亘る講演。役員会に糖尿病非専門医を。
保険診療Q&A
Q:看護師が長時間かけてインスリン自己注射の指導を行なっていますが、何か保険点数は算定できませんか?
 A:在宅療養指導料 170点が算定可能です。算定要件は、「在宅療養指導管理料を算定している患者に対し保健師または看護師が、プライバシーが配慮された専用の部屋で、個別に30分以上指導を行なった場合」となっています。また、入院患者に対しては、退院時に算定できます。人工肛門など器具を装着した入院中以外の患者も対象となります。詳しくは「医科点数表の解釈」128頁を参照してください。
Q:院外処方でときどき「病名もれ」として投薬を査定されます。なにか良い対策はありませんか?
 A:院外処方は1ヶ月の薬剤料、調剤料などの合計点数2000点以上の処方箋が審査の対象となります。多剤投薬の場合や病院では自分の科以外の診療科からの投薬も合算されますので、他科を受診しておられる患者さんについてはとくに注意が必要です。
Q:「膠原病疑い」という病名は認められないのですか?
 A:「膠原病」という疾病はありませんので、「膠原病疑い」という傷病名は不適です。自己抗体を網羅的に測定するのではなく、臨床症状をよく観察して最も疑われる病名を記載し、それに関する検査を施行するようにして下さい。
Q:最近、審査会ではどんなことが話題になっていますか?
 A:急性上気道炎に対する抗生物質の注射、ビタミン剤の多用、画像診断などを施行せずに「ガン疑い」での腫瘍マーカー、euthyroidと思える例に対する連月の甲状腺機能検査などでしょうか。
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